不動産営業に限らず、ビジネスにおける大切な業務の1つに電話応対があります。
電話でのやり取りは顔が見えず、ユーザーとの間で誤解が生じやすいこともあるため、対面式の接客よりも気を遣わなければなりません。
また、近年スマートフォンが普及したこともあり、若い世代では「電話の取り方がわからない」という人も少なくないでしょう。
そこで今回は、ビジネスマナーの基礎である電話応対の受け方やかけ方の基本的な方法、そして不動産営業が注意すべき電話応対のポイントなどを紹介していきます。
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敬語は電話応対だけでなく、ビジネスシーン全般において使用するため、基本的なものはあらかじめ覚えておく必要があります。
敬語を間違って使用してしまうと、ユーザーや取引先からの印象や信頼を損ねてしまうかもしれません。
敬語のルールは教わる機会も少ないため、自分自身で学んでいく必要があります。
電話応対のやり方を説明する前に、敬語の種類とそれぞれの特徴を見ていきましょう。敬語には3つの種類があり、それぞれ意味や使い方が異なります。
まずは、丁寧語の特徴やよく使うワードを見ていきましょう。
丁寧語とは、話し手が聞き手に敬意をあらわすために言い方を丁寧にする言葉です。
たとえば、「私はりんごを食べる」を丁寧語にすると、「私はりんごを食べます」となります。
また、単語の頭に「お」や「ご」をつけて丁寧にする方法もあります。「風呂」「箸」「茶」などは、「お風呂」「お箸」「お茶」にして言い換えることが可能です。
ビジネスシーンでよく使う言葉は、以下のように丁寧語に変換されます。
基本の言葉 | 丁寧語 |
---|---|
いる | います |
する | します |
行く | 行きます |
見る | 見せます |
聞く | 聞きます |
言う | 言います |
思う | 思います |
会う | 会います |
このように、丁寧語は基本的に動詞の後ろに「ます」がつく言葉です。なお、「私は会社員です」など、名詞の後には「です」がつくのが基本です。
尊敬語は、話し手が聞き手や話題になっている人物のことを高めて表現するために使用します。
「先生がりんごを食べる」の場合は、「先生がりんごを召し上がる」となります。
たとえ聞き手に敬意を払いたい場合であっても、自分に対して尊敬語は使いません。
上記の例文のように、尊敬語は動作や状態の主語を高めるための言葉なのです。なお、ビジネスシーンでよく使う言葉を尊敬語に変換すると、以下のようになります。
基本の言葉 | 尊敬語 |
---|---|
いる | いらっしゃる |
する | なさる/される |
行く | いらっしゃる/おいでになる |
見る | ご覧になる/ご覧くださる |
聞く | お聞きになる |
言う | おっしゃる/言われる/仰せになる |
思う | 思し召す/お思いになる |
会う | お会いになる/会われる |
言葉によっては基本形から大きく変わるものもあるので、日頃から使用する尊敬語は覚えるように心がけましょう。
謙譲語とは、聞き手に敬意を払うために自分や話題になっている人物のことを低めて表現するための言葉です。
たとえば、「りんごを食べる」を謙譲語にした場合、「りんごをいただく」という形になります。
謙譲語はへりくだった言い方なので、基本的に自分や自分の周囲の人間が主語になっている場合に使用しましょう。
なお、ビジネスシーンで使う言葉を謙譲語に直すと以下のようになります。
基本の言葉 | 謙譲語 |
---|---|
いる | おる |
する | いたす/させていただく |
行く | 参る/伺う |
見る | 拝見する/見せていただく |
聞く | 伺う/拝聴する |
言う | 申す/申し上げる |
思う | 存じる |
会う | お目にかかる/お会いする |
上記で説明した尊敬語と謙譲語を間違えて使った場合、聞き手に不快な印象を与えることになるかもしれません。
きっちりと使い分け、シーンに合わせて使用することが重要です。
ここからは、電話を受ける際の基本ルールを解説していきます。電話応対の基本的の流れは以下のとおりです。
それぞれのポイントや注意点をくわしく見ていきましょう。
コール音は1回約3秒が一般的で、3コールでは10秒ほど相手を待たせることになります。
10秒もの間ユーザーや取引先を待たせてしまうと悪い印象につながるおそれもあるため、3回コール以内に電話に出るようにしましょう。
万が一3コール以内に出られなかった場合は、電話を受けたらすぐに謝罪の言葉を伝えます。
「大変お待たせいたしました。」や「お待たせして申し訳ございません。」など、一言添えるようにしてください。
電話を受けた場合、必ず最初に会社名と自分の名前を伝えます。
「お電話ありがとうございます」や「はい」などの言葉をはさみ、一拍置くことによってスムーズに伝えることができるようになるのでおすすめです。
また、こちらから電話をかけた場合は、相手が名乗るのを待ってから名乗るようにしましょう。
友人や家族との電話の際、最初に「もしもし」といっている人も多いかもしれませんが、ビジネスシーンで「もしもし」はNGです。クセになってしまっている方は、最初の言葉に注意しながら電話に出てください。
OK:お電話ありがとうございます。株式会社◯◯の◯◯◯でございます。
NG:もしもし、株式会社◯◯ですが。
電話の相手によっては、名前を伝えてくれないこともあります。そのような場合は、こちらから会社名と名前を伺わなければいけません。
相手の名前を伺う際は、「恐れ入ります」といったクッション言葉を使うようにしましょう。
クッション言葉とは、話の本題に入る前に使う言葉のことで、相手を思いやる気持ちを示すことができます。
また、「頂戴」という言葉は、本来は物に対して使う言葉なので、名前に使うのは失礼にあたります。
さらに、「どちら様でしょうか」は直接的すぎるためビジネスシーンでは向いていません。
OK:恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。
NG:お名前頂戴できますでしょうか。
なお、相手が会社名や名前を教えてくれた場合は、復唱することが大切です。
「株式会社◯◯の◯◯◯様でいらっしゃいますね。」と確認しながら、名前の聞き間違いを防ぎましょう。
他の担当者へ取り次ぐ前に、相手に確認を取ることが重要です。
万が一聞き間違えて別の人に取り次いだ場合、電話をかけた相手や間違った相手など多くの人に迷惑をかけてしまいます。
OK:営業部の山田でございますね。少々お待ちください。
NG:おります、代わります。
ビジネスシーンにおける取り次ぎでは、たとえ取り次ぎ相手が社内にいることがわかっていても、相手の都合を確認せずに「おります、代わります」と伝えてしまうのは好ましくありません。
社内にいたとしてもほかの電話応対や接客・会議などで電話に取り次げない場合もあり、電話をかけてきた相手への印象を悪くしかねないからです。
取り次ぎ相手が電話に出られない場合は、こちらから電話し直す旨を伝えて相手の電話番号や対応が難しい時間帯などを伺います。
これらを間違えずにメモし、取り次ぎ相手に渡しましょう。
相手によって話す内容は異なるため、基本の受け方だけでは対応しきれない場面もあります。
お客様からのお電話から営業電話まで、どんな電話でも安心して対応できるように、ここからは電話の受け方応用編を解説していきます。
取り次ぎ相手が社内にいるものの自席にいない場合、会社中を探していては電話先の相手を待たせてしまいます。
席を外している場合はすぐに伝え、折り返しの電話をする旨を伝えるとよいでしょう。
OK:申し訳ございません。◯◯はただいま席を外しております。
戻り次第折り返しお電話差し上げるように申し伝えますので、お電話番号をお教えいただけますでしょうか。
NG:社内にはいると思うのですが、どこにいるのかわかりません。
伝言を頼まれた場合、注意すべきは「伝える」の敬語の使い方です。
先ほど説明したとおり、電話先の相手に敬意をあらわす必要があるため、謙譲語を使わなければいけません。
OK:承知いたしました。◯◯に申し伝えます。
NG:わかりました。◯◯にお伝えします。
NG:わかりました。◯◯に伝えておきます。
伝言の内容に不安がある人は、伝言内容を復唱しても問題ありません。
特にメールアドレスなどの複雑な事項を承った場合は、必ず復唱するクセを付けておきましょう。
電話先の相手や環境によって、相手の声が聞き取りづらく、困ってしまうこともあるでしょう。
そのような場合は失礼にならないよう、クッション言葉を用いて聞き取りにくいことを伝えましょう。
OK:申し訳ございません。お電話が遠いようでございます。
NG:え?声が聞き取りにくいのですが。
このとき、相手に配慮して「電話が遠い」と抽象的に伝えるのがポイントです。
電話応対中に、保留と間違えて電話を切ってしまうケースも少なくありません。
そのような場合は、可能な限り着信履歴をたどって自分からかけ直すようにしましょう。
もし自分からかけ直す前に再度電話がかかってきたら、電話を切ってしまったことへの謝罪と、かけ直してくれたことに対する感謝の気持ちも伝えるようにしてください。
仕事中、自分からユーザーや取引先にかけることも多いでしょう。
そんな場合も落ち着いて用件を伝えられるよう、ここでは電話をかける際のポイントや注意点を解説します。
最初に自分が勤めている会社名と自分の名前を伝えます。電話を受けるときと同じように、「お世話になっております」とワンクッションを置くことによって、落ち着いた雰囲気を出すことができます。
OK:お世話になっております。株式会社◯◯の高橋と申しますが、宣伝部の田中様はいらっしゃいますでしょうか。
NG:田中様に取り次いでいただけますか。
はじめての電話の場合は、「お世話になっております」の代わりに「突然のお電話で失礼いたします」などの言葉を使うとよいでしょう。
相手がいなかった場合、戻り時間を聞いておき、こちらからあらためてその時間に連絡を入れるようにしましょう。
戻り時間がわからない場合や急ぎの場合には、伝言を頼んで折り返し電話をしてもらうように頼んでみてください。
ビジネスシーンでは、他の電話応対や会議などですれ違うことも多く、何度も電話をかけてしまうことも少なくありません。
そのような場合は、電話を取ってくれた人にお詫びの気持ちを伝えます。
たとえば、「何度も申し訳ございません」などのクッション言葉を使うとより丁寧な印象が伝わるようになります。
また、名乗るときは「先ほどお電話した◯◯です」と伝えてもよいでしょう。
留守番電話ができる時間は限られているため、用件を端的に伝えるのが重要です。
詳細内容に触れずとも「◯◯の件でお電話いたしました」など、ある程度の内容を伝えると親切です。
また、留守番電話は通常の電話よりも聞き取りにくい可能性があります。大きな声を張り上げる必要はありませんが、
伝言を残すときは口を大きく開けてハキハキと話すように心がけましょう。もちろん、雑音や騒音のなかでメッセージを残すのはマナー違反です。
ここまではビジネスシーン全般における電話応対のポイントを解説しましたが、最後に不動産営業だからこそ注意すべき点を紹介していきます。
顔や表情が見えない電話応対は、声色のトーンやスピードで相手への印象が決まります。
法人よりも一般のユーザーと話をする機会が多い不動産営業は、電話の相手に対してポジティブな印象を与えられるように、明るくハキハキした話し方を意識してください。声のトーンをいつもより少しだけ高くするだけで、相手に好印象を与えることができます。
また、相手が聞き取りやすいスピードで話すのも重要です。
早口すぎると相手が聞き取りづらく、場合によっては大きなトラブルにつながるおそれがあります。
相手の会社名・名前・用件は必ず復唱して、相手に確認を取りながら話を進めることが重要です。
とくに、マンション名などの固有名詞や部屋番号などの数字は間違いやすいため、しっかりと聞き取れるまで何度も復唱しましょう。
電話応対の時間を長引かせないよう、できるだけ簡潔に用件を伝えることが大事なマナーです。
電話応対を手早く終わらせるコツの1つは、用件の結論から伝えることです。
結論ではなく、用件の背景や理由などを長々と話してしまうと相手の集中力が途切れてしまいます。
伝えたい内容をあらかじめ整理し、相手に電話の目的を把握してもらえるような工夫をしてみましょう。
例えば電話営業の場合、用件を先に伝えないとなんのための電話かわからず、掛け先のユーザーの不信感を産んでしまう可能性もあります。
そうならないためにも、必ず結論から先に伝えることを強く意識してください。
不動産営業において、電話応対は人との信頼関係を築く大事な業務の1つです。
声色のトーンやスピードを意識して電話を手短に終わらせるなど、相手の立場を考えながら話すことで、
相手に好印象を与えることができるようになります。
今回紹介した敬語の使い方や電話応対のやり方を参考にして、ビジネス電話への苦手意識をなくしていけるようにしましょう。
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