現在注目されているサービスの中に、「不動産テック」というものがあります。
不動産テックをうまく活用すると、今の不動産業界が抱えている労働生産性の低さや人手不足といった課題を解決できるかもしれません。
今回は、不動産テックの主な内容や種類、導入を成功させるポイントなどを具体的に解説していきます。不動産テック市場に興味がある、不動産業界の課題を解消したいという方はぜひ参考にしていただけると幸いです。
目次
不動産テックとは、「不動産」×「テクノロジー」が組み合わさって生まれた言葉です。
不動産会社の業務にインターネットなどのテクノロジーやITツールを用いて、業界が抱える課題の解決を図ります。また、今まで当たり前とされていた商習慣を変えるといった目的で導入されることも少なくありません。
「〜テック」と呼ばれる言葉は、不動産市場だけに見られるものではありません。
「アグリカルチャー(=農業)」と「テクノロジー」を掛け合わせた「アグリテック」や、「メディカル(=医療)」と「テクノロジー」を掛け合わせた「メドテック」など、さまざまなジャンルが存在します。
不動産テックをはじめ、テック企業が増えた理由の背景に、ハードウェアが高性能になったことが挙げられます。
現在、多くの人がパソコンやスマートフォンを使っているように、テクノロジーは今や身近な存在です。近年のテクノロジーの進化によって、AIやARなどさまざまな技術の活用が進んでいます。
このような技術の発達、さらに安価で利用できるようになったことで、大手の不動産企業からベンチャー企業までテクノロジーを取り入れる動きが活発化しました。
業務の利便性が上がるだけではなく、人手不足の解消や生産性のアップなどが期待されています。
不動産テックには、大きくわけて以下3つの種類があります。
それぞれの種類によって目的が異なるため、取り扱う情報によって使いわける必要があります。
また、不動産テック協会が発表している「不動産テックカオスマップ」によると、不動産テック企業は細かく12のサービスに分類することが可能です。それぞれの不動産テックサービスが、どの種類に分類されるのかを詳しく見ていきましょう。
データやテクノロジーを用いて不動産の適正価格のチェックや家賃の査定、将来の見通しなどをおこなう不動産テックサービスです。
マンション名や住所、部屋の広さや空室状況などを入力するだけで、その不動産の価格が算出されます。不動産価格の確認には一括査定サイトもありますが、AIなどのテクノロジーを使用していないため、こちらの場合、不動産テックサービスとはいえません。
地価や物件価値は、日本の情勢や周辺環境によって変わっていきます。
過去のデータや経験だけでは、今後査定をするのが難しくなるおそれがありますが、価格可視化・査定系の不動産テックサービスを使えば、常に新しい不動産情報をアップデートしていくことが可能です。
なお、「不動産テックカオスマップ」による12のサービスのうち、価格可視化・査定系にあたるのは以下の不動産テックサービスです。
上記で説明したサービス内容に特化した不動産テックサービスです。
上記で説明したサービスのなかで、ローンや保証に特化したサービスのことです。
不動産の購入や賃貸にはローンが必要なケースがほとんどです。ローン業務における雑多な手間を不動産テックサービスに任せることで、不動産業者の負担が減り、業務効率の改善が期待できます。
リフォーム・リノベーション業者や税理士、不動産投資家など、さまざまな事業者を結びつけるのがマッチングサービスです。
不動産取引に関する悩みを抱えている人と解決する人をマッチングさせるサービスもあり、B to CだけでなくB to BやC to Cなど、取引形態の幅も広がっています。
なお、不動産情報の管理・掲載・紹介をおこなうためのサービスも、マッチング系に該当します。
今や不動産を探すのに定番である、不動産ポータルサイトも含まれます。物件情報・メディア系のサービスを使うことで、人の手を介さずに内見の予約まで完了させることも可能です。
「不動産テックカオスマップ」による12のサービスのうち、マッチング系にあたるのは以下の不動産テックサービスです。
上記で説明したサービスから、シェアリング、リフォーム・リノベーションを除いた不動産テックサービスです。
オンライン上のプラットフォームで、資金を必要としている人と提供する人をマッチングさせるための不動産テックサービスです。
個人・法人に制限はなく、数万円といった少額でも投資することができ、資金調達がしやすい仕組みが設けられています。
クラウドファンディングの不動産テックサービスを活用することで、不動産投資機会を作り出すほか、物件購入や資金調達が難しかったプロジェクトを円滑に進めていくことも可能です。
また、東証一部上場の不動産業者によるサービスも登場し、取り扱う不動産が増えていることもメリットの1つです。
リフォーム・リノベーションを依頼する人と請負業者をマッチングするサービスです。
最近は新築へのこだわりが薄くなっている方も多く、代わりにリフォームやリノベーションの需要が大きくなってきています。これに伴い、リフォーム・リノベーションの不動産テックサービスも増えているのです。
SDGsが叫ばれる近年において、リノベーション物件の需要はますます増えていくと予想されます。
永住ではなく、短期・中期に限定した不動産や空きスペースのシェア・マッチングに特化したサービスです。
たとえば、旅行中のホテルの代わりに空き家を利用したり、イベントの開催に空きスペースを利用したりする際に、スペースシェアリングサービスが活用されます。
定額で日本国内さまざまな空き家に住むことができる、世界中の施設を利用できるなど、利用者のニーズをつかむ工夫がなされたサービスも少なくありません。
定住にとらわれない方が増えれば増えるほど、サービスの幅はますます広がると予測されます。
不動産情報の管理・掲載・紹介をしているポータルサイトなどを指します。サービス内容に特化した不動産テックサービスです。
物件だけでなく、不動産そのものの情報の取り扱いに関するサービスです。不動産の登記情報をデータベース化して、物件データを一度に確認できるようなサービスが含まれます。
そのため、不動産業務の効率化には欠かせないサービスだといわれています。
不動産売買や賃貸といった、より実務的な点を支援するのが業務支援系になります。
現地に行ったり、お客様に同行したりしなくても物件案内ができるようになるなど、これからの社会のあり方にマッチしたサービスを提供できるようになります。VRやARといった先進技術を用いて、より効率的に内見などを行うサービスというのもこのカテゴリに含まれます。
「不動産テックカオスマップ」による12のサービスのうち、業務支援系にあたるのは以下の不動産テックサービスです。
不動産売買・賃貸の仲介業務の支援サービス、あるいはツールのことを指します。賃貸仲介は利益幅が小さく、労働集約的なビジネスでもあるため、不動産テックサービスによる業務効率の改善が期待されています。
Webサービスを通じて、売買や賃貸の管理業務支援をおこなうサービスです。物件情報と顧客情報の一元管理が重要な不動産業務をデジタル化することで、業務効率の改善が叶います。
仮想現実や拡張現実などのテクノロジーを使い、オンライン上で物件の内見やインテリアの配置をおこなうためのサービスです。場所や時間などの理由で内見ができない方にアプローチするために、これらを使って営業活動をおこなう方も少なくありません。
不動産テックを活用するメリットは、以下の2つが挙げられます。
それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
テクノロジーを駆使すれば、常に最新の情報に触れられます。過去の情報が必要になるケースもありますが、顧客のライフスタイルが多種多様な現代では、最新の情報がないと対応できないケースも少なくありません。
ITが発展している時代だからこそ、顧客の知識や情報も格段に増えています。
プロの不動産業者が、顧客の知識に劣ってしまうわけにはいきません。不動産テックを活用するメリットは、信頼できるソースから有益な情報をすぐに手に入れられる点にあるといえます。
たとえばVR・ARやマッチングサービスなど、今までなかったサービスを活用することで、顧客の不動産取引意欲はより高まることが予想されます。
また、仲介業務支援や管理業務支援のサービスを活用することで、顧客への反響対応にかける時間を短くすることも可能です。顧客満足度が高まることによって、より質のよい不動産取引を増やしていけるようになるのです。
先進的な取り組みである不動産テックは、ただ導入すればよいというものではありません。不動産テックを導入する際には、以下3つのポイントを押さえましょう。
不動産テックのサービスを最大限に活用するためには、適切な情報収集が必要です。
前述のとおり、不動産テックにはさまざまなサービスがあり、それだけ多くの不動産テック企業が存在します。そのなかから自社の課題をスムーズに解決するサービスを探すためには、正しい情報を得て適切に活用することが求められます。
不動産テックサービスを導入しても、十分に活用できなければ導入費用が無駄になってしまうため、まずは使ってみて自社に合う・合わないを確かめてみることが重要です。
ただし、やみくもに使っていては得られる効果も少なくなってしまうので、適切に活用できるよう、正しい使い方も覚えておきましょう。
先述のとおり、不動産テックを扱っている業者はたくさんあるため、どの不動産テック企業を選んでよいか迷ってしまうかもしれません。
同じようなサービスを提供しているように見えたとしても、実際に得られる効果が異なる場合も多いため、不動産テック企業を1つずつ見比べることが重要です。長期的なお付き合いになることも多いので、安心して業務を任せられる企業を見つけましょう。
「不動産テックを導入する」といっても、短期間で結果が期待できるものではありません。
むしろ、いきなり業務の大部分や根本部分を不動産テックありきのシステムに変更してしまうと、これまでのやり方が突然変わってしまって混乱し、従来の業務に支障が出てしまうことが考えられます。
不動産テックの導入によって業務効率が低下してしまっては本末転倒なため、まずは変更による混乱が少ない小規模の業務からツール導入などを始めることをおすすめします。
ツールによる業務効率化に従業員が慣れてから、複数の業務で不動産テックを導入すると円滑でしょう。
不動産とテクノロジーが組み合わさった不動産テックは、発展を続けている仕組みの1つです。
労働生産性の低さや人手不足といった不動産業界特有の課題を解決するためにも、不動産テックのサービスは活用するべきだといえます。
不動産テックには多くのメリットがある一方、成功させるうえで押さえておかなければならないポイントもいくつかあります。
これからの時代を生き抜くためにも、最新の情報をキャッチしながら1人でも多くの顧客にアプローチしていきましょう。なお、不動産テックについては下記の記事でも取り上げているので、興味のある方はぜひチェックしてくださいね。
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