不動産・賃貸仲介業のなかでもとくに、営業はきつい業務だといわれることがあります。
どの業界においても、営業業務はあまり楽なイメージはありませんが、なぜ不動産営業は特別きついといったイメージがあるのでしょうか。
不動産営業がきついといわれる要因と、状況を改善する方法を解説します。
目次
不動産・賃貸仲介業の営業がきついといわれる要因としては、次のようなことが考えられます。
不動産の営業は販売する商品が高額であるため、1件の成約を獲得することも簡単ではありません。
賃貸物件は販売物件に比べれば高額ではないものの、そのぶん件数の獲得が求められることが多いようです。
つまり、販売、賃貸ともにノルマが厳しいことに変わりはありません。ノルマが厳しくなっている要因のひとつは、競合が増加していることです。
公益財団法人不動産流通推進センター発行の「2020不動産業統計集(3月期改訂)」によると、不動産業の法人数は1999年度から右肩上がりで増加しており、2018年度時点で約33万8,000社も存在します。
競合が増えれば、ノルマを果たすのもより厳しくなるのです。
不動産営業の給与は固定給+歩合給であることが多く、成約数が多ければそのぶん給与も上がりますが、成約数がゼロであれば基本給のみの収入になります。
そのため、給与が多いときと少ないときの差が大きく、継続してノルマを果たせなければ、収入が安定しないことになるのです。
近年は働き方改革の影響もあり、不動産業界も以前に比べると残業時間や休日出勤は減少傾向にあります。
しかし「営業」という職種は、顧客からの要請があれば、ノルマを果たすために無理をして対応せざるをえないケースが少なくありません。
とくにクレームを受けた場合は、すぐに対応しなければ契約にこぎつけられない可能性が高まるため、残業や休日出勤につながりがちです。
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【必見】営業ノルマ達成のポイントやノルマが設けられている理由を徹底解説!不動産・賃貸仲介業の営業業務を困難にさせている背景には、不動産業界が抱える大きな課題があります。それは人材不足です。
日本では急速に少子高齢化が進んでおり、15歳から64歳の生産年齢人口は年々減少の一途をたどっています。
総務省がとりまとめた「平成29年版 情報通信白書」によると、生産年齢人口のピークは1995年で、以降は毎年減少を続けています。
生産年齢人口自体が減少しているなか、不動産業界における人材不足も深刻化しているのです。
前出の「2020不動産業統計集(3月期改訂)」によると、不動産業の従業者数は、2009年の約124万人から2014年には約118万人に減少しています。
前述したように、不動産業の法人数は右肩上がりで増加しているにもかかわらず、従業者数は減少しているのです。
もうひとつ着目したいのが、離職率です。厚生労働省が定期的に実施している雇用動向調査によると、2019年1年間の不動産業・物品賃貸業の離職率は15.1%でした。
30%を超える宿泊・飲食サービス業や20%を超える生活関連サービス・娯楽業などに比べれば高くありません。
しかし、同調査の対象となっている16産業のうち7番目に高い水準となっており、けっして低い数字とはいえないのです。
加えて重要なポイントが、離職率と入職率との差です。
2015年の同調査では、離職率が15.9%と、2019年の15.1%とそれほど大きな差はありません。
一方入職率のほうは、2015年は21.1%だったのが、2019年では16.2%で、2015年と比べて約5%も少ないのです。
離職率はほとんど変わっていないものの、入職率が大きく減少していることから、以前より新たな人材が増えにくい状況にあることが推測できます。
不動産業の人材不足は深刻な課題のひとつといえそうです。
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不動産業界の人材不足問題-原因とその解決方法を解説!不動産業界にかぎった話ではありませんが、人材不足が、営業業務をさらにきついものにさせている一因であることは間違いないでしょう。
しかし、人材不足の根本的な原因は少子高齢化であるため、すぐに解決できる問題ではありません。
そのため、人材不足を前提とした「業務効率化」が大切になります。
業務効率化とは、「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくして生産性向上をめざす取り組みのことです。具体的には、次のような方法が考えられます。
営業業務の効率化をさまたげる要因のひとつは、特定の社員しか業務のやり方を知らない、いわゆる業務の属人化です。
担当者が不在で対応できないとなれば非効率なうえ、顧客に余計な手間をかけることにもなってしまいます。
そこで、業務の属人化を避け、だれが対応しても同じようにスムーズに進めていくために、マニュアルを作成しておくのです。
業務内容や進め方、顧客とのやりとりを一つひとつマニュアル化し、営業社員全員で共有すれば、業務効率は向上するでしょう。
事務作業やルーティンワークなど、外部に依頼しても問題のない業務を委託するのもひとつの方法です。社員は顧客対応に集中でき、顧客一人ひとりに対してより細かなフォローをする余裕が出てきます。
業務効率化の方法として効果が大きく、また短期間で効果を実感できるのが、ITツールの導入です。
不動産の営業業務を効率化させるITツールとして、例えば顧客管理システムやマーケティングオートメーションツールがあるでしょう。
不動産業界特有の顧客対応を自動化させられる接客ツールも、効果が期待できます。
ITツールを導入することによってどのような効果が期待できるか、少し掘り下げてみましょう。
不動産業界特有の顧客対応を自動化させられる接客ツールを導入した場合は、以下の効果が見込まれます。
接客ツールの機能によっては、Webサイトでのユーザーの行動や広告への反応、アンケートの回答内容などから契約の可能性が高いユーザーを見つけ出すことができます。
その結果、そのユーザーが求める情報を、タイミングよく提供できるようになり、業務効率化が果たせると同時に、契約率の向上も期待できます。
また、営業進捗状況ごとに顧客を一覧表示させたり、顧客ごとに優先度や属性のタグ付けもできたりするため、対応状況が可視化され、業務の属人化回避が可能です。
よくある問い合わせやお礼、アンケート依頼などの定型メールは、基本的に自動化されます。
自動返信する回答や条件はカスタマイズが可能なため、店舗によってさまざまな自動化設定ができます。回答文面もカスタマイズすることによって、より手動に近い対応が可能です。
この機能を最大限に活用すれば、営業社員は詳しい回答が必要な問合せだけに対応すればよくなり、生産性の高い業務に集中できるようになります。
アンケートや自社Webサイトでの行動を管理して、顧客が求めている条件に応じた物件提案を自動で行えるようになり、追客業務時間の削減が実現します。
また、顧客が希望している条件に一致した物件が少ない場合であっても、手動に近い精度で条件を緩和し、提案することも可能です。
不動産営業は、確かにきついといわれる要素があるかもしれません。
しかし、適切な業務効率化を進めていけば、限られた人手でも無理なく業務を遂行できる環境をつくることは可能です。
業務量の適正化によって労働環境が改善されると、社員の満足度やエンゲージメントの向上につながります。
また、人材採用力の向上も期待できるでしょう。結果的に人手不足の解消や、社員一人ひとりの負担のさらなる軽減に結びつきます。
以上のような良いサイクルにするためにも、紹介した方法を参考に、ぜひ自社に適した業務効率化を実現させてください。
不動産業に携わる方の参考になれば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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