IT化がほかの産業よりも進んでいないといわれる、不動産業界。
なかには「ITツールが大事とは聞くけれど、いまのやり方で十分」「いまひとつIT化のメリットがわからない」と、二の足を踏んでいる企業も多いのが事実です。
そこで今回は、不動産業界・賃貸仲介業界で“IT”が必要な理由と、ツールやシステムを導入するメリットをわかりやすく紹介します。
ITの力で業務の効率化や集客力の向上を目指すために、ぜひ参考にしてみてください。
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不動産業界にIT技術を取り入れるとは、そもそもどのような状態を指すのでしょうか。
端的に説明すると、IT技術を導入して不動産業務の効率化をはかり、集客力や利益率の向上を目指す状態を指します。
ちなみに、IT技術で不動産業界のこれまでの習慣や体制を刷新するしくみを総称して「不動産テック(不動産×テクノロジー)」や「Prop Tech(プロパティ×テクノロジー)」といいますが、これとほぼ同様の状態を意味します。
では、「Eメールを使っていればIT化になるか」といわれたら、その状態ではやや不十分かもしれません。
IT化の真の狙いは、いままで業界になかった技術を取り入れて、業務のあり方を大きく刷新することにあるからです。
例えば、最も身近な例でいえば、物件情報を掲載するポータルサイトもIT化のひとつです。
これまでチラシや雑誌で草の根的に集客していた賃貸仲介店は、ポータルサイトを経由してWebサイトからより多くのお客様に来店してもらえるようになりました。
最近の例では、反響対応や追客を効率化できる「反響管理システム」や、重要事項説明をオンラインで行う「IT重説サービス」などが挙げられます。
これらのしくみが導入されれば、お客様にとっても「迅速に問合せへ対応してもらえる」「重説のためにわざわざ来店する必要がなくなる」などのメリットがあります。
このように自社の生産性だけでなく、お客様の満足度も向上できるところに、IT化の意義があるのです。
なぜいま、不動産業界・賃貸仲介業界において、IT化が急がれているのでしょうか。時代的な背景もふまえて、IT化すべき理由を3つ紹介します。
少子高齢化の影響もあり、どの業界でも採用難が課題になっています。そのなかでも大きな影響を受けているのが、不動産業界です。
厚生労働省の調査によれば、正社員等の“人手不足感”を示す数値(労働者過不足判断D.I.)が、不動産業界では30%を超え、全産業中の上位5位内に位置しています(※)。
人手不足を解消するためには、人力に頼る「労働集約型ビジネス」を脱却し、IT化によって効率化・自動化をはかる姿勢が必要なのです。
長時間労働者が多いことも、不動産業界の課題になっています。
パーソル総合研究所の調査によれば、月30時間以上の残業をしている人の割合は、不動産業・物品仲介業で31.8%。これは、全産業中4位の数字です(※)。
長時間労働は、従業員ひとりあたりの業務負担が大きいことも意味しており、効率化をはかる必要があります。また「長時間労働が当たり前」なイメージがついてしまうと、採用難をいっそう加速させることにもなりかねません。
実は欧米諸国外と比べると、不動産業界の労働生産性は高くありません。
厚生労働省の調査によれば、日本の不動産業界の労働生産性は、アメリカを「1」としたときにわずか「0.39」(※1)。IT資本の投入規模で比べても差は歴然で、日本のIT資本投資はアメリカの10分の1という結果になっています(※2)。
IT資本投資と労働生産性の値がともに他国と比べて低いことから、日本の不動産業界ではIT化による生産性の向上が急がれているのです。
ここからは、賃貸仲介業界において、IT化を進めるべき理由を解説します。まずは、現状の業務において、多くの人が課題と感じていることを4つ紹介します。
業者向けの物件情報サイトでは、物件の状況がリアルタイムに更新されていないことも多いです。
そのため、仲介会社は管理会社にたびたび連絡を入れ、物件確認する必要があります。しかし、なかなか電話がつながらなかったり、管理会社が休日で対応してもらえなかったりというケースもあるのが実情です。
そうなると、何度も電話やFAXで問い合わせなければいけません。こうした物件確認の手間が、積もり積もって負担になることもあります。
仲介会社にとって内見では、ふたつの手間が発生します。ひとつは、鍵の受け渡しをする手間です。
仲介会社は内見のたびに管理会社から鍵を預かり、返却する必要があります。1日に何回も内見する場合の工数は、けっして少なくはありません。
もうひとつは、内見へ同行する際の手間です。仲介会社としてはお客様に納得してもらえる部屋を提案したいため、数多くの物件を内見してもらいます。
しかし、あまりに多くの内見に同行していたら時間が足りなくなり、反響対応や追客が遅れ、新規の見込み顧客をのがしてしまうかもしれません。
重要事項の説明は、多くの場合お客様に来店してもらい、対面で行われます。
しかし、お客様にとっては「来店するのが面倒」「遠方に住んでいるから交通費がかかる」と、負担に感じることが多いかもしれません。
また、新型コロナウイルス感染症の流行といった理由で外出を控えたいときでも、宅地建物取引士(宅建士)が重説のために出社しなければいけないというリスクもあります。
対面での重説は、お客様と従業員の双方の負担となっている可能性があるかもしれません。
反響対応や追客のやり方が、営業個人のノウハウにゆだねられているという会社も少なくありません。
その結果、成果に大きな差が開いてしまうこともあります。また、手動で追客の電話やメールをしていると、膨大な時間がかかります。
接客や内見の時間がとれなくなってしまい、つい追客を後回しにしてしまうこともあるでしょう。反響対応・追客の遅れから、新規の見込み顧客をのがしてしまうケースもありえます。
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追客とは?不動産営業で重要な理由や方法、実施する際の注意点を解説上述したような課題を解決するために有効なのが、ITツールの導入です。ITツールの導入によって賃貸仲介の業務がどう変わるのか、4つの観点で紹介します。
物件確認のIT化として、「AIによる自動化ツール」があります。
管理会社側がこのツールを導入すれば、仲介会社からの問合せに対してAIが自動で応答し、物件の状況について返答します。
これによって仲介会社は24時間365日スムーズに物件確認を行うことができるので、「何度も連絡しなければいけない」という心配もありません。また、お客様に希望の物件をすぐに提案できるので、顧客満足度の向上も期待できます。
内見のIT化として、代表的なふたつのツールがあります。
ひとつは、IoTの技術を活用した「スマート内見サービス」です。
このサービスでは、スマートキーと呼ばれる鍵を部屋の扉に設置することで、スマートフォンのアプリで解錠できるようになります。つまり、物理的な鍵が不要になるため、内見のたびに管理会社から鍵を預かり返却する手間をなくせるのです。
もうひとつは、VRの技術を使った「バーチャル内見サービス」です。
このサービスでは、お客様に専用のゴーグルを装着してもらうことで、Web上で部屋の内見ができるようになります。製品によっては実際に家具や家電を置いてみる、という操作も可能です。部屋を訪れなくても、お客様に住まいのリアルなイメージをもってもらえるツールです。
仲介会社にとっても、内見に同行する手間を省けるだけでなく、成約率の向上にもつながります。
重要事項説明のIT化として、オンラインで重説を行う「IT重説サービス」が代表的です。
IT重説では、あらかじめ店舗からお客様へ必要書類を送ったうえで、Web会議ツールを使ってオンラインで重要事項を説明します。
IT重説を導入すれば、重説のためにわざわざ宅建士が出社する必要がなくなるため、労働時間の削減につながります。
また、お客様に来店してもらう必要もなくなるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
IT重説については、国土交通省の調査(※)でも有用性が証明されています。
同調査によれば、実際にIT重説を受けた利用者の97.4%が「(相手方の説明を)すべて理解できた」「ほとんど理解できた」と回答しました。
オンラインでも、十分に重要事項の内容を理解してもらえることがわかります。
また、利用者の75.7%が「(IT重説では)質問しやすかった」と回答し、その理由としてもっとも多かったのは「対面上感じる威圧感や緊張感がなかったから」でした。
お客様にとっては、逆にオンラインでの重説だからこそ、対面では得られなかったメリットがあるようです。
反響対応・追客のIT化としては、「反響管理システム」や「顧客管理システム(CRM)」が代表的です。
これらのシステムを導入すれば、お客様からの問合せに対して自動で返信したり、最適なタイミングで追客を行ったりできるようになります。
手動でメールを送信する時間を削減できるほか、「問合せへの返信を忘れていた」という人為的ミスも減らすことが可能です。
また、お客様に最適なタイミングで物件紹介や来店促進のメールを送れるため、顧客満足度の向上にもつながります。効率化と集客力の向上を同時に目指せるツールだといえるでしょう。
以上、不動産業界・賃貸仲介業界でITを導入する必要性につい、解説いたしました。
ITツールと聞くと、最初は「自社に合うかわからない」とためらってしまう人も多いかもしれません。しかし、まずはスモールスタートで試してみることで、業務の生産性が飛躍的に上がる可能性があります。
当社では、反響対応や追客を効率化し、生産性を向上させるツール、「反響管理FA」を提供しています。
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