新たな顧客を開拓するのは昔からどの業界でも難しいといわれています。しかし、新規営業の中には、「紹介営業」という営業手法があり、これをうまく活用すれば短期間・ローコストでの新規顧客開拓が可能です。
今回は、そんな紹介営業の特徴やメリット、注意点や流れについて解説していきます。普段とは違う方法で新たな顧客を開拓したいと考えている営業マンはぜひ参考にしてください。
紹介営業とは、リファラル営業とも呼ばれ、既存顧客や友人から見込み顧客を紹介してもらう営業方法です。家族や親戚、取引先などさまざまな人が紹介者になる可能性があります。
新規営業は、新たな見込み顧客を見つけるのに多くの時間を要します。何回も断られ続け、精神的に疲れてしまうことも少なくありません。しかし、紹介営業の場合は紹介者が見込み顧客を紹介してくれるため、一から新規顧客を探す必要がありません。
また、紹介者と紹介元の方の間には信頼関係がある場合がほとんどです。そのため、短期間で受注にいたる可能性もあります。
例えば不動産業界なら、賃貸物件を探している人や物件購入を検討している人は、実は近くにいるかもしれません。また、以前賃貸物件を紹介した顧客から「友達が同じマンションに住みたいといっているから話を聞いてほしい」と相談されるケースもあります。
紹介営業には、通常の営業方法にはない4つのメリットがあります。それぞれの内容を見ていきましょう。
通常、新規の顧客と信頼関係を結ぶには長い時間が必要といわれています。しかし、紹介者と紹介元の方の間にはすでに関係性が構築されているため、紹介された時点で営業担当者との信頼関係も多少はできていると考えられます。
紹介営業で得た見込み顧客は、新規で獲得した見込み顧客よりも深い信頼関係が構築しやすいのです。
一般的に、見込み顧客はテレアポやポスティング、メール営業などを経て獲得します。しかし、顧客を紹介してもらうことでそれらを省くことができ、効率の良い営業活動が叶います。
また、上記の方法で見込み顧客を獲得できても、信頼関係はすぐには構築されません。紹介営業なら信頼構築までの時間と手間も短縮でき、さまざまな面での効率化が期待できます。
営業コストとは、顧客へアプローチをする時間や獲得するまでの準備にかかったコストのことで、テレアポやポスティング、営業メールにはそれぞれ時間と諸経費がかかります。
また、新規顧客獲得のために展示会やセミナーなどを開催するとさらなる費用がプラスされますが、成約できなければそれらもすべて無駄になってしまいます。
紹介営業は、上記のような手間や時間がかからず、紹介者に依頼をするだけで済むのがメリットです。信頼関係が結びやすい分、成約の可能性が高く、コストパフォーマンスの高い営業方法だといえます。
通常の新規営業の場合、商品やサービスを提案すると性能や価格などさまざまな面で競合他社と比較されます。
特に、機能や特徴にあまり大きな差がない競合他社の商品の場合、価格で比較される傾向が強いです。価格で比較されてしまうと、どれだけ優れた商品・サービスでも1円でも他の商品より高ければ成約に繋がりません。
しかし、紹介営業の場合は商品・サービスに対する紹介者からの前評判があるため、価格だけで比較されにくいです。さらに関係性も構築されているため、商品価格が少し高くてもニーズに合った商材なら契約してもらえる可能性があります。
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営業の成約率をアップするコツを紹介!上がらない理由や計算方法も確認しよう多くのメリットがある紹介営業ですが、デメリット・注意点もあります。それぞれの内容は以下のとおりです。
信頼していない相手には、自分にとって大切な人は紹介しにくいものです。見込み顧客を紹介してもらうには、まずは紹介者との信頼関係を構築しておかなければいけません。
もともと関係構築ができている家族や知人の場合は気にすることはありませんが、既存顧客や取引先などが紹介者の場合、関係性の構築が必須です。
信頼関係は、すぐに構築されるわけではありません。長い年月を経て徐々に構築されるものなので、日々の行動や態度に注意しながら付き合っていくことが重要です。
営業担当者が見込み顧客に不誠実な対応を取ってしまった場合、紹介者からの信用を失ってしまうため注意が必要です。
見込み顧客と紹介者はお互いにとって大切な人であり、「不誠実な対応をしていた」などの情報が紹介者の耳に入れば営業マンに対する信頼もなくなります。
紹介者と見込み顧客の関係性が崩れてしまうとせっかくの新規契約の話も白紙に戻るため、紹介営業の顧客には特に配慮しながら接する必要があります。
通常の新規営業は、ターゲットに関する詳しい情報や現状、今後の展望などについて詳しくリサーチを行ってから営業活動する場合が多いです。
しかし、紹介営業の場合、このような詳細情報が集めにくいというデメリットがあります。紹介者に細かいところまで尋ねるとこちらの心証が悪くなるため、ファーストコンタクトの際、相手をよく知らない状況で会うようなことも少なくありません。
相手に関する情報が乏しいと、最初の営業活動の前に準備すべき営業資料が定まらず、不十分な状態で営業することになるかもしれません。また、顧客の課題やニーズに合わせた適切な商品・サービスが提案できず、紹介してもらったのに成約に繋がらないことも考えられます。
ここでは一般的な紹介営業の流れについて解説します。人によって少々変わってくるので、おおまかな流れを把握し、実際の状況に合わせて対応しましょう。
まずは紹介者と良好な関係を築いておきましょう。信頼関係がないまま紹介を依頼しても、紹介してもらえることは少ないです。もし「紹介目当てで近づいた」と思われてしまうと、紹介者との関係性が悪くなるかもしれません。
前述のとおり、紹介営業は商品・サービスを気に入ってもらえた顧客に、友人など他の見込み顧客を紹介してもらう営業方法です。
そのためには、商材提供後も定期的に効果や感想についてヒアリングするなど、熱心な営業活動が必要です。このような真摯な対応を続けることで、自然と信頼関係が構築されます。
営業マンが何も働きかけずに、紹介者から人を紹介してもらうことはほとんどありません。紹介営業を行うには、信頼が築けた方に見込み顧客となりそうな人がいないのかを確認する必要があります。
また見込み顧客の紹介を依頼するには、見込み顧客を限定する、会社の宣伝をしてもらうの2パターンがあり、前者の場合は以下のように質問するのが有効です。
例:「周囲に賃貸物件を探している人はいませんか?」
例:「都内に在住している新婚夫婦の知り合いはいませんか?」
もちろんある程度関係性を築けているのは大前提で、かつ切り出すタイミング等は重要ですが、このように見込み顧客を限定すると、紹介者も人材の選定をしやすくなります。紹介者を悩ませることなく手軽に紹介依頼が可能です。
会社の宣伝をしてもらう際には、人物像を限定せずに自社の宣伝をお願いしましょう。「周囲に賃貸物件に興味を持ちそうな人がいれば弊社を紹介していただけませんか?」などと依頼しておけば、該当者が現れたときに紹介してもらえるかもしれません。
ただし、この方法を実践する場合は、紹介者が会社や商品・サービスについて理解していなければならないため、事前に会社の情報をある程度伝えておくようにしましょう。
見込み顧客を紹介されたら、すぐにアプローチを行います。会社や商品・サービスについて十分にわかっていない可能性もあるため、ファーストコンタクトでは丁寧に自己紹介し、詳しい説明を行いましょう。
前述のとおり、見込み顧客に失礼な態度を取ってしまうと、紹介者との関係にまで影響を与えます。悪い印象を持たれないよう、十分な配慮をしながら営業活動を行いましょう。
見込み顧客へのファーストコンタクトが終われば、結果がどうであれ紹介者へお礼を伝えましょう。
その際に状況報告を行うことで、より丁寧な印象を与えることができます。お礼を伝えておくことで紹介者との関係性がより強固になり、新たな人材を紹介してもらえる可能性も高まります。
成約率が高い紹介営業ですが、より効率よく行うために押さえておくべきポイントがあります。紹介営業を行う際は、以下のポイントを押さえたうえで実践しましょう。
見込み顧客の紹介を依頼するベストなタイミングは、紹介者との関係性が構築された後です。一度契約してくれただけでは、十分な関係性が構築できたとはいえません。
商品・サービスを何度もリピートしてくれたり、別の商材を求めてくれたりと、向こうからアプローチしてくるようになれば関係性は構築されたといえます。
また、多くの人は商品やサービスに満足したときにこの良さを他の人に伝えたいといった欲求を持ちます。
そのため、契約の成立時や納品時に紹介依頼を行うのがおすすめです。熱が冷めないうちに紹介依頼を行うと、高い効果を得られる可能性が高いです。
紹介依頼がまとまっていないと、紹介者はいつ何を紹介して良いかわからず、結果的に断られる確率が高くなります。どのような顧客にどんな内容で紹介してほしいのかを事前にまとめておけば、紹介者への依頼もスムーズに進みます。
口頭のみでの説明ではなく、資料を使いながら説明するなどわかりやすく正確に伝える工夫をしましょう。そのまま相手に渡せるような営業資料を渡しておくと、相手の手間も減らせます。紙で渡すと紹介者の迷惑になってしまうおそれがあるので、PDFなどのデータで渡しておくことがおすすめです。
紹介客と信頼関係を築くには、相手にとってメリットがある存在になる必要があります。紹介者にとってメリットのある情報を与え続けたり、紹介者の要望に対して迅速に行動したりすることで、長期的な信頼関係が構築されます。
また関係構築には、契約後も頻繁に接触する機会を持つことも重要です。たとえ会社や営業マンの利益にならなくても、相手にメリットのある情報を与え続けることで接触機会が増え、相手からの信頼を得ることに繋がります。
CRMとは、既存顧客の商談内容や営業の履歴を管理できるツールのことです。CRM上の情報を活用しながら紹介者を探すことで、効率よく紹介営業を進めることが可能です。
紹介営業とは、すでに関係性が構築されている人から新たな顧客になりそうな人を紹介してもらう営業方法です。通常の新規営業よりも信頼が得やすく、顧客を獲得できる確率が高くなります。
紹介営業のコツは、紹介者との関係を深めることです。関係ができていないまま紹介を依頼すると、紹介客との関係がこじれてしまう可能性があるため、正しいタイミングで適切な紹介営業を行いましょう。
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